対談|未来への扉をひらく Vol.1

Value of Network

七つの海に響く歌

MISIA 〈アーティスト〉 宮坂学 〈ヤフーCEO〉

アーティストとして活躍しながら、社会貢献活動に奮闘するMISIA。その影響力の大きさから、彼女の真摯なメッセージは多くの人の目に触れ、心を打ってきた。彼女は何を見、何を考えて活動を続けるのか。一見対極の、IT企業のトップ・宮坂学との対談から見えてきた彼女の真意とは──。
(2013.06.20 掲載) text by Nao Niimi(KAI-YOU) photography by Shunsuke Mizukami

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文化発祥の地としてのアフリカ

宮坂 MISIAさんの音楽は僕もいつも聴かせていただいています。

MISIA ありがとうございます。

宮坂 いや、お礼を言わなくてはならないのは僕の方です。MISIAさんの音楽から大きな励ましと力をいただいています。一方でMISIAさんは音楽活動とは別に、アフリカの子どもたちの教育支援など、社会貢献事業にも取り組まれていますね。アフリカに興味を持ち始めたのは、何かきっかけがあったんですか?

MISIA 自分が好きなソウルミュージックのルーツがアフリカにあったものですから。音楽や文化といった方面からアフリカに興味を持ち、徐々に、アフリカを身近に感じていくようになっていきました。同時に、アフリカが直面している教育問題や貧困といった困難にも、自然と目が向いていくようになりました。

宮坂 実際にアフリカには行かれているんですか?

MISIA 初めてアフリカに行ったのは、信藤三雄さんというアートディレクターの方に声をかけていただき、2007年に渡航したケニアでした。

宮坂 アフリカの第一印象はいかがでしたか?

MISIA すごく良い場所ですよ! 広大な自然、豊かな資源、そこに住む人たちにも活力があり、何より私にとっては、アフリカの音楽は想像を超えるものでした。お祭りの期間中は2日間、48時間も太鼓を演奏して歌い続けている方々もいました。私たちには考えられないパワーです。

宮坂 ものすごい体力ですね(笑)。

MISIA 音楽自体も、普通、4連符の音楽だったら4拍子の歌しか登場しないのですが、3・4・5連符が同時進行する、洗練されていて素晴しい完成度なんです。同時に、悲しい話もあります。それぞれの曲には例えば自然への感謝などのメッセージが込められているのですが、アフリカへ来た人の中には、そのサウンドを録音し、全く違うテーマの楽曲にサンプリングしてしまう方もいるんだそうです。知的財産権の問題もありますが、アフリカのリズムにはそれぞれメッセージがあって、戦いのビートもあれば、農業、愛のビートと、それぞれに意味が存在するんです。そのソウルを理解せず全く違う文脈で使われていて、すごく悲しんでいました。

同時に、子どもたちの教育問題も目の当たりにし、それが、今の活動につながっています。私としては、もっとアフリカの素敵な、尊敬できるところを伝えることで、精神的に歩み寄ってリスペクトし合える関係を生み出したい。これまでとは違う関わり方を築くことで、新たな世界が開けるはずだと考えています。

七つの海に響く歌_01

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宮坂 素晴らしい文化に魅せられてアフリカに触れていく中で、アフリカの抱える問題にも関心を持たれるようになったんですね。

MISIA そうですね。平和で繁栄した公正な世界を作り出すために国際社会が2000年に打ち出した「ミレニアム開発目標」の達成に向けて、<音楽やアートを通じた活動が世界を変える>というコンセプトに賛同してくれた人たちが集まって、2010年には「mudef(ミューデフ)」という財団も立ち上がり、今はそこを通じて活動を続けています。

例えば「初等教育の普及」のため、「Child AFRICA(チャイルド・アフリカ)」という子どもたちの教育支援に取り組むプロジェクトを推進したり、「人々の生活向上と地球環境の保全」という目標のために、生物多様性に関連した情報提供も行っています。

宮坂 著名なアーティストであるMISIAさんが、第一線に立たれて声を挙げるということはとても重要なことだと思います。

MISIA 私は今までにアフリカの6カ国を渡航しています。今年、セネガルに行った際、20世紀を代表するアフリカンミュージシャン、ドゥードゥー・ンジャイ・ローズさんと『MAWARE MAWARE』という曲をリアレンジし制作しました。そこで使われたサバールという太鼓には、7つの杭があるのですが、その杭は、7つの海と7つの大陸を意味し、つまりそのサバールは世界を意味し、だからこそ力がある太鼓だと教えてもらいました。私はこのお話から、世界中でみんなが声を挙げれば、いつか世界を変える力を持つ──そんなメッセージを感じました

■特集|未来への扉をひらく

  1. What is “Links for Good”?
  2. 01.MISIA 七つの海に響く歌
  3. 02.佐藤大吾 みんなの気づきが日本を変える
  4. 03.米良はるか 声援が、明日への一歩を踏み出す力に
  5. 04.駒崎弘樹 すべての親子が笑って暮らせる社会を
  6. 05.伊勢谷友介 美しい成長
  7. 06.有森裕子 他人を喜ばせる力は、自分を喜ばせる力に
  8. 07.白木夏子 エシカルジュエリーで笑顔を
  9. 08.中村俊裕 テクノロジーがラストマイルに笑顔を届ける
  10. 09.山崎亮 誰がコミュニティをデザインするのか?
  11. 10.枝廣淳子 しなやかで、持続可能な社会
  12. 11.野口健 山が教えてくれた、知ることの本質
  13. 12.森山誉恵 子どもたちにツケを払わせない社会
  14. 13.ハリス鈴木絵美 一人ひとりの声は、インターネットに乗って社会を変える力に
  15. 14.小暮真久 誰かのためになることを面白がれる人に
  16. 15.道端カレン、山田淳「人と人、土地と人とのつながり」 Vol.1
  17. 16.北村孝之、高橋邦治、佐藤渉、立花丈美「人と人、土地と人とのつながり」 Vol.2
  18. 17.大会参加者レポート「人と人、土地と人とのつながり」 Vol.3
  19. 18.髙井康行、服部亮市「寄付の行方」Vol.1
  20. 19.髙井康行、服部亮市「寄付の行方」Vol.2
  21. 20.ジョルジェ・マキッチ「寄付の行方」Vol.3
  22. 21.「女性が働きやすい会社のつくり方」Vol.1
  23. 22.「3.11を機に問い直す、ヤフーのBCPとは?」
  24. 23.吉岡マコ「女性が働きやすい会社のつくり方」Vol.2
  25. 24.子どもたちの未来

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