「サイクル・ツーリズム」で宮城の観光振興を後押し

スタート前に笑顔を見せる参加者たちの写真

スタート前に笑顔を見せる参加者

ヤフーは2016年9月17―18日、三陸沿岸で「ツール・ド・東北 2016」を開催した。3700人以上が出走する一大自転車イベントで、同社の社会貢献事業の柱の一つだ。4回目を迎えた今年は「東北の新しい魅力を発見」がテーマ。今後、ツール・ド・東北は「サイクル・ツーリズム」の推進で観光振興を目指す宮城県を応援していくという。昨年の気仙沼ワンウェイフォンド(95km)に続き、北上フォンド(100km)を取材した。

文=山本修二(サイクリスト/自転車ジャーナリスト)

沿道で声援を送る人たちの写真

沿道で声援を送る人たち(撮影:Yahoo! JAPAN公式カメラ隊)

18日当日、石巻専修大学キャンパスには冷たい雨が降っていた。広場に並ぶサイクルスタンドには色鮮やかなスポーツ自転車が並んでいる。そこには、スタートを心待ちにするライダーの笑顔が溢れていた。

今年で4回目を迎えたツール・ド・東北は、開催日を2日間に拡大。初めてでも挑戦しやすい女川・雄勝フォンド(60km)から、日ごろのトレーニングの成果を試せる気仙沼フォンド(211km)まで、6ルートが用意された。このほか、初心者でも楽しめる「手ぶらdeラクラク石巻周遊ライド」(18km)もある。

各ルートに特設されたエイドステーションも、このイベントの魅力を高める重要な要素。参加者たちが脚を休め、地元の人たちとの触れ合いを楽しめるエイドステーションの存在が、このイベントに深みを与えている。

距離100㎞、獲得標高(登坂標高の合計)1000mという走り応えのある北上フォンド。このコースに参加するモデルの道端カレンさん、元陸上競技選手の為末大さんといった華やかなゲストの挨拶の後、ライダーたちは順に走り出した――。

農道を経て国道398号へ至ると、万石浦が見えてくる。走り進めると、リアス式の海岸線とその向こうにある風光明媚な女川の漁港が、遠方から訪れた旅人を穏やかに迎えてくれた。

雨にもかかわらず、沿道にはライダーたちに温かく手を振る人々がいる。その笑顔に会いたくて、毎年参加するライダーも多いという。むろん、僕もその一人だ。

サンマのつみれ入り女川汁と女川汁を準備する女川町商工会の女性たちの写真

左)サンマのつみれ入り女川汁
右)女川汁を準備する女川町商工会の女性たち
(撮影:Yahoo! JAPAN公式カメラ隊)

「どんな形でもいいから恩返ししたい」

海岸線のアップダウンと雨を楽しみながら走ると、真新しい施設が目に入る。2015年3月に再建したJR女川駅だ。駅舎には入浴施設があり、道路の向こう側に2015年12月に商業施設「シーパルピア女川」が開業。海に向かうプロムナードの周辺には、小売店や飲食店が建ち並ぶ。沿道では、大きな大漁旗や大会の小旗を振る人々の声援が迎えてくれる。

この日、駅前広場に出現したエイドステーションでは、サンマのつみれが入った女川汁がふるまわれた。雨で冷えたライダーたちの心と体をじわりと温める。

「震災のときに全国から駆けつけてくれた人たちに、どんな形でもいいからお返しがしたくて、お手伝いをしています。昨日から約4000食を準備して、お待ちしていました」

こう話すのは、エイドステーションを取りまとめる女川町商工会女性部の北村孝子さんだ。

「今年で4回目になりますが、続けて参加されている方には、女川が復興していく様子がよく分かると思います。最初はガレキが残り、仮設住宅もありました。今では、駅舎や温泉、それに商店街までできて、ようやく街らしくなったのです。これからようやく高台に住宅が整備されるところで、まだまだ道半ば。まちが蘇る過程を参加者の皆様に見ていただくことこそが、私たちにとっての復興なのです」

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