IT化進め寄付金額が99倍に
地方を元気にする「ふるさと納税」

児嶋利男と内藤剛の写真

Yahoo!公金支払いプロジェクトマネージャーの児嶋利男(左)とイベントのマーケティングや対外交渉に従事する同プロジェクト担当の内藤剛

自治体に寄付することで、その地域を支援する「ふるさと納税」。寄付額のうち2000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度(一定の上限はあり)で注目を集めている。ヤフーが提供する「Yahoo!公金支払い」は、ふるさと納税のオンライン決済を可能にしたことで、決済件数と決済金額の増加に貢献している。ヤフーは地域の課題にどのようにかかわっているのか、「Yahoo!公金支払い」プロジェクトマネージャーの児嶋利男、同プロジェクト担当の内藤剛に話を聞いた。

文=枝松 麗(「オルタナ」編集委員)  写真=福地 波宇郎

梶主査の写真

北海道上士幌町役場企画財政課の梶主査

人口5000人に満たない小さな町にもかかわらず、ふるさと納税の寄付額が全国でベスト5にランクインする町がある。それが、北海道十勝地方北部に位置する上士幌(かみしほろ)町だ。

2014年度は、ふるさと納税によって9億7400万円の寄付金を集めた。そのうち、6億8640万円は「Yahoo!公金支払い」を通じた寄付だという。特典を付け始めた2011年度と比べると約99倍に上る。

上士幌町は2012年、ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」に参加したことで、寄付件数と寄付金が増加。2013年11月には過去最多の2390万円(1003件)の寄付金を集め、「Yahoo!公金支払い」に参加した同年12月には、寄付金1億926万円(4987件)を集めた。

ロースステーキセットの写真

寄付金額2万円の特典「十勝ナイタイ和牛 ロースステーキセット」

オンライン決済でユーザーと自治体の負担を軽く

「Yahoo!公金支払い」とは、税金や公共料金、ふるさと納税がクレジットカード、Tポイントを利用して納付できるヤフーのサービスだ。2007年にサービスを開始し、現在契約する自治体の数は、全国1800自治体の3分の1を占める600自治体に上る(2015年6月現在)。

これまでふるさと納税の利用者は、申し込みフォームやファクスなどによる申し込みをへて、各自治体から送られてきた納付書で支払いを行うといった手続きが必要だったが、「Yahoo!公金支払い」では、申し込みから決済までをワンステップで完了させることができる。

その利便性とふるさと納税制度の人気の高まりから、「Yahoo!公金支払い」によるふるさと納税の決済件数は2013年度の6万5291件から2014年度は87万4586件に、決済金額は10億円から143億円へと飛躍的な伸びを見せている。

上士幌町役場企画財政課の梶達主査は「申し込みの増加にともなって、役場内では手続きの対応に多くの時間を取られるようになっていました。『Yahoo!公金支払い』導入後は、作業を簡略化でき、さらに増加した申し込みにも対応できました」と、自治体側のメリットを説明する。

認定こども園の写真

ふるさと納税の寄付による積立金で、幼稚園料無料化と保育園料の軽減を実現した認定こども園(北海道上士幌町)

ふるさと納税が地域を知るきっかけに

ヤフーが提供するのは、公金支払いのプラットフォームだけではない。

「Yahoo!公金支払い」プロジェクトマネージャーの児嶋は、「インターネットを利用するユーザーのベースには、リアルな生活があります。リアルとインターネットを融合させるのがわれわれの使命」と力を込める。

2014年に都内で開催した「地域活性化フェスタ」では、ゆるキャラがふるさと納税を実施する地域のPRを行い、2日間で約80万人を集客した。

同イベントのマーケティングを手がけた内藤は「ふるさと納税は、地域を知ってもらうきっかけの一つ。寄付でもらった特産品を自分で購入してみる。次に、その地域に行ってみる。さらにそこに移住する――。そんな流れができれば、地方創生の足がかりになるはず」と、地域と人がつながる可能性を語る。

多くの地方自治体と同様、少子高齢化が課題の上士幌町では、ふるさと納税による寄付金を子育て・少子化対策に活用している。今春から開設した認定こども園では、幼稚園料無料化と保育園料の負担軽減を実現。外国人講師を雇用し、英語教育も行っている。

子育て・少子化対策や移住者の優遇制度が追い風となり、2011年から昨年までに104人が移住してきた。

上士幌町の梶主査は「人口が約5000人なので、移住者の割合は少なくない。移住者の増加を受けて、同じく高齢化が進んでいる他の自治体と比べて人口の減少がゆるやか」と手応えを感じている。

「Yahoo!公金支払い」は、さらにユーザビリティを高めるために、2015年9月にリニューアルを行う。ふるさと納税の特産品を探しやすいように改良するほか、動物の殺処分への寄付など、寄付金の使い道から寄付先を選ぶユーザーが増えている傾向を受け、寄付の使い道もより分かりやすく表示する予定だ。

将来的には、特産品の購入や地域への旅行を「Yahoo!ショッピング」や「Yahoo!トラベル」など「Yahoo! JAPAN」内の複数のサービスと連携させることで、ワンショットではなく、より深く地域とかかわっていくことを目指す。

「最終的には、情報・ヒト・モノ・カネ、全ての面で都市部と地方の垣根をなくすことができれば」と、児嶋は展望を描く。

人と地域をつなぎ、その可能性をどこまで広げていけるのか。インターネットのさらなる潜在力を引き出すために、ヤフーの挑戦は続く。

梶達

上士幌町役場 企画財政課 主査

2001年4月に上士幌町役場に入職。2015年4月に初めて設けられた「ふるさと納税担当主査」となる。

児嶋利男

ヤフー株式会社 決済金融カンパニー プロデュース本部

2008年5月にヤフー株式会社入社。

前職はカード系のシステム営業や加盟店営業を経験。その際に「Yahoo!公金支払い」を知り、サービススキームに惚れ転職する。入社以来「Yahoo!公金支払い」で、税金や公共料金などのウェブ決済の普及を推進。また、ふるさと納税も担当。

内藤剛

ヤフー株式会社 決済金融カンパニー プロデュース本部

2008年4月にヤフー株式会社入社。

広告事業・ニュース事業でのビジネス開発や、Ooyala(ウーヤラ)社(アメリカ)との映像ビジネスプラットフォーム事業立ち上げを行う。2013年より「Yahoo!公金支払い」で、主にイベントマーケティングや対外交渉などを担当。

NEW