「みんなで復興ライド」、ユーザーと東北の架け橋に

高橋直子とブラッキー中島隆章と須永浩一と子どもたちの写真

「ツール・ド・東北」でテクニカル・サプライヤーパートナーを務める株式会社オージーケーカブトの協力により、子どもたちに新しいヘルメットが寄贈された

スポーツ事業推進室の高橋直子(左)、「ウィーラースクールジャパン」代表のブラッキー中島隆章さん(左から2番目)、社会貢献本部本部長の須永浩一(右)

子どもたちに自転車の楽しさを伝えたい――。ヤフーは6月14日、今年9月に開催予定の「ツール・ド・東北 2015」に連動した「子ども自転車教室」を、石巻専修大学グラウンド(宮城県石巻市)で開催した。子どもたちは安全な自転車の乗り方を学び、最後には「みんなで復興ライド」から真新しいヘルメットがプレゼントされた。

文=斉藤 円華(オルタナ編集委員)  撮影=福地 波宇郎

ブラッキー中島と子どもたちの写真

実際に自転車で走行練習。ブラッキー中島さんの説明を受ける子どもたち

ヤフーは東日本大震災の復興支援の一環で、自転車で三陸沿岸を走る「ツール・ド・東北」を2013年から開催している。今年は昨年より500人増枠し、全国からライダー約3500人が集まる一大イベントとなる予定だ。

この「ツール・ド・東北」には、イベント当日に出走しなくても、インターネットで参加できる仕組みがある。それが「みんなで復興ライド」だ。

「みんなで復興ライド」とは、「ツール・ド・東北」のコンセプトに賛同した人が日常のサイクリングや通勤・通学などで走った距離を登録することで、仮想的に「ツール・ド・東北」に参加できる仕組みだ。さらに、みんなで走行距離を積み上げていくと、参加者全員の走行距離に応じて被災地にプレゼントが贈られるというもの。「ツール・ド・東北」に参加できなくても、東北の復興を願って走った距離が被災地支援につながるプロジェクトなのだ。

2013年の開始から1年9カ月で、延べ8175人が目標の34万キロメートルを「走破」。「ツール・ド・東北」でテクニカル・サプライヤーパートナーを務める株式会社オージーケーカブトの協力により、東北の子どもたちに自転車用ヘルメット50個をプレゼントすることになった。

「ツール・ド・東北」のイベント企画担当で、社長室 コーポレートコミュニケーション本部 スポーツ事業推進室の高橋直子は「チャリティーの形で東北を応援できるのが『みんなで復興ライド』です。大会に参加できなくても、普段から自転車に乗ることで復興支援に関われる、IT企業のヤフーならではの取り組みではないでしょうか。また、大会にエントリーできるのは高校生からですが、復興ライドなら年齢制限はありません」と話す。

子どもたちの写真

「スラローム走行もなんのその!」。バランスを崩しながらも懸命に走る子どもたち

真新しいヘルメットに満面の笑み

「子ども自転車教室」に集まったのは石巻市内外に住む、未就学児から小学校高学年までの子どもたち。先生は、子どもたちに安全な自転車の乗り方を教えるグループ「ウィーラースクールジャパン」のブラッキー中島隆章代表だ。

子どもたちはまず、貸し出された自転車用ヘルメットをかぶる。兄弟で参加した小学3年生の男の子は「ヘルメットは着けたり着けなかったり」と話す。一方、「全然かぶんなーい」と言う妹(小学2年生)は、あごひもが緩くヘルメットがグラグラのままだ。「こうするとあごひもが締まってグラグラしないよ」と、ブラッキー中島さんが優しくアドバイスした。

交通ルールを説明する紙芝居の後は、いよいよ自転車にまたがって「一本橋渡り」や「スラローム走行」、「タイムトライアル」などにチャレンジ。「まっすぐに走るのは意外に難しい!」。バランスを崩して倒れそうになる子どももいるが、こうした体験も交通安全の大事さを肌で感じる機会だ。

「楽しみながら『走る・曲がる・止まる』を反復学習できるので、いざというときに身を守れるようになる。集団で走ることで、実際の路上でも通用する社会性が身につきます」と、ブラッキー中島さん。

自転車教室の最後に、「みんなで復興ライド」で寄贈されたヘルメットが子どもたちにプレゼントされた。最初は「かぶんなーい」と言っていた女の子も、真新しいヘルメットを手に思わず「かっこいい!」と満面に笑みを浮かべていた。

子どもたちの写真

集団で走ることで社会性が身に付くという

自転車が復興や街おこしの手がかりに

「街おこしや復興の手がかりとして自転車に注目しました」と話すのは、「ツール・ド・東北」に立ち上げ当初から関わっている、社長室 社会貢献本部 本部長の須永浩一だ。

自転車は環境負荷が低く健康増進にもなる。自転車と歩行者が安全に通行できるよう、「自転車レーン」などの整備も各地で進む。

「自転車の活用は、これからの東北の街づくりの大事なパーツになると思います。そうした未来に向けて多くの人が自転車に親しみ、楽しむきっかけを作るのも『ツール・ド・東北』の役目。自転車教室も、自転車とふれあう『絆』の一つです」(須永)

自転車に親しみ、楽しむきっかけづくりという点では、「ツール・ド・東北 2015」の開催当日には、サイクリストはもちろん、地元の人々や観光客も楽しめるプログラムが用意されている。

「『ツール・ド・東北』のメイン会場で、石巻市のスタート・ゴール会場である石巻専修大学では、東北の『食』が集結したフードコート『ツール・ド・東北 応“縁”飯(おうえんめし)』が登場します。食べることで生産者を応援し、大会に関わる全ての人が食を通じて『縁』を深めるお祭りです。また9月12日には石巻市内約13キロメートルを走り、復興する様子を体感するミニライドも予定しています」(高橋)

「10年継続していく『ツール・ド・東北』の各イベントなどを通じて、震災の記憶を未来につないでほしいし、今日の子どもたちが将来『ツール・ド・東北』に出走してくれればうれしいです」(須永)

3年目の今年は、約3500人のライダーが東北の秋を駆け巡る。ITだけにとどまらないヤフーの復興支援はまだまだ続く。

ブラッキー中島隆章

ウィーラースクールジャパン 代表

自身の子どもが自転車に乗ることが好きだったことがきっかけで、自転車の世界に入る。ベルギー発の自転車教室と出合い、「一人でも多くの子どもに自転車の楽しみを」を合言葉に、ウィーラースクールジャパンを結成。子どもたちへの自転車教育のニーズを受け、全国で子どもを対象にスクールを開催する。

東日本大震災の際には、翌年より被災地の子どもたちに向けたボランティアの自転車教室「チェーンリングプロジェクト・フォー・キッズ」を立ち上げた。その後も、多くの賛同者とともに、年間数回のペースで石巻市を中心に訪れ活動を続けている。

ブラッキー中島隆章の顔写真

須永浩一

ヤフー株式会社 社長室 社会貢献本部 本部長

2003年ヤフー株式会社に入社。コンシューマ事業統括本部ビジネス開発部 部長などを務める。2011年3月に東日本大震災が起きたことから、同年12月に「復興デパートメント」プロジェクトを立ち上げる。その後、社会貢献本部の本部長として復興支援に尽力。「ツール・ド・東北」も2013年の第1回大会から担当。

須永浩一の顔写真

高橋直子

ヤフー株式会社 社長室 コーポレートコミュニケーション本部 スポーツ事業推進室

2011年4月にヤフー株式会社に入社。入社後は「Yahoo!ショッピング」や「ヤフオク!」の営業、企画編成などを担当。2013年の1回目の大会よりボランティアとして参加し、2014年4月よりコーポレートコミュニケーション本部スポーツ事業推進室でイベント企画などを担当。今年度は会場イベントの統括責任者に。

※肩書き、部署名は掲載時のものです。

高橋直子の顔写真

NEW