ネット募金で即日対応
被災地のニーズに合わせた支援を

広島の土砂災害の写真

2014年8月、広島で局地的豪雨により土砂災害が発生した(写真:アフロ)

ヤフーは2015年9月10日、茨城県鬼怒川で堤防決壊が起こった数時間後に「台風18号大雨被害 Yahoo!基金緊急募金」を立ち上げ、約4580万円を集めた。今回の寄付先は「赤い羽根募金」で知られる中央共同募金会(東京・千代田区)。集まった寄付金はどのように被災地支援に役立てられるのか。

文=瀬戸内千代(「オルタナ」編集委員) 写真=安田裕

広島の土砂災害のボランティアの写真

多くのボランティアらが駆け付け、泥かきを手伝った

「台風18号大雨被害 Yahoo!基金緊急募金」は、「支援募金」として約4580万円が集まった。

「災害が発生すると、人々は着の身着のまま避難します。義援金として集められた寄付金は、こうした被災者のために、全額を公正・平等に配分しています。一方、今回の『支援募金』のように義援金以外で集められた寄付金は、災害ボランティアの活動資金として使うこともできます」

こう説明するのは、中央共同募金会の福井淳総務部長だ。

中央共同募金会・福井氏の写真

中央共同募金会の福井さん。中央共同募金会は全国47都道府県共同募金会の連合体で、複数の都道府県や全国規模の寄付金の受け入れや調整を行う

「『Yahoo!基金』からの寄付金を義援金以外に充てたのは、2014年8月に発生した広島市の土砂災害の時が最初でした。地元の共同募金会は、災害時の福祉活動用に赤い羽根募金の一部をストックしていますが、当時、その資金が足りなくなったのです。被災地で特にお金がかかるのは、災害直後の復旧作業です。広島では、人海戦術で泥かきを進めるために、連日、活動拠点となる災害ボランティアセンターから被災現場まで、大勢のボランティアの方たちをバスで運びました。そうした様々なケースに応じられるよう、寄付金の使い方を現場の裁量に任せてもらえるのはとてもありがたいです」(福井さん)

ヤフー株式会社 社長室社会貢献推進室「Yahoo!基金」運営リーダーの石川省吾は「東日本大震災の募金は約10億円に達したものの、『義援金』として集めたため、他の支援ニーズに対応できませんでした。そこで、それ以降は様々な支援ニーズに応えられるよう『支援募金』としてお金を集め、共同募金会に預けています」と続ける。

2014年に起きた広島の土砂災害の場合、「Yahoo!基金」から寄付された約3100万円のうち約1400万円が「支援募金」として、被災地である広島市安佐南区・安佐北区の復旧復興の財源に使われた。例えば、バスのレンタル代・ガソリン代、ボランティア活動に使う機材・備品代、ボランティアコーディネーターの活動費などだ。

2015年9月7日に発生した台風18号による豪雨の影響で、9月10日に茨城県常総市鬼怒川の堤防が決壊し、大規模な浸水が起こった。ヤフーはすぐに「台風18号大雨被害 Yahoo!基金緊急募金」を開始し、およそ8万人から約4580万円を集めた。中央共同募金会は、3080万円を義援金、1500万円を災害ボランティアの費用などに充てる予定だ(2015年11月27日現在)。災害ボランティアの支援は、ボランティア活動の拠点設置費やボランティアコーティネーターの活動費などに充てられる。

「常総市では仮設住宅は設置せず、近隣市町村を含めた公共の住宅を提供する予定になっているため、住民がバラバラになってしまう可能性があります。現地からは、そうした方々のニーズを伺い、調整し、支援するためのボランティア活動費にも使用していきたい、と聞いています」(福井さん)

妹尾正仁と福井淳と石川省吾の写真

左からヤフー株式会社 社長室コーポレートコミュニケーション本部社会貢献推進室室長の妹尾正仁、社会福祉法人中央共同募金会総務部長の福井淳さん、ヤフー株式会社 社会貢献推進室ヤフー基金運営リーダーの石川省吾

「365日24時間」、災害支援に対応

ヤフーが「Yahoo!基金」を設立したのは2006年。背景には、2005年に福岡 Yahoo! JAPANドーム(現 福岡 ヤフオク!ドーム)の近くで福岡県西方沖地震が起きた際、義援金拠出手続きが煩雑で寄付が遅れた反省があったという。そこで、支援対象基準に適合する規模の災害が起きた場合、すぐに支援ができるように「Yahoo!基金」を立ち上げた。

ヤフーは、国内外で大きな自然災害が発生すると、いち早く独自に募金窓口を開設し、インターネット上で決済できる「Yahoo!ネット募金」のサービスでユーザーからの寄付を募る。

これまでは、金融機関が空いている時間帯にしか募金専用の口座を開設できなかったが、いわば24時間365日、オンラインで寄付を受け付けられるようになった。

福井さんによると、口座振り込みや現金書留しかなかった1995年阪神・淡路大震災の時と比べて、インターネットが普及した今、寄付のハードルは明らかに低くなっているという。東日本大震災以降、クレジットカード決済も定着した。

また、「Yahoo!ネット募金」では買い物をした際などに進呈されるTポイントを、寄付できるようになった。Tポイントを寄付するユーザーが増え、「台風18号大雨被害 Yahoo!基金緊急募金」の際は、Tポイント寄付での割合が高かったという。

さらにユーザーの寄付金額に対して、ヤフーが同額を上乗せる取り組みも好評で寄付額の増加に繋がっているという。

「東日本大震災以降、ある意味、寄付業界も競争社会になってきています。寄付先の選択肢が急増した今、今後はさらに、使途や効果を可視化する努力が不可欠だと認識しています。常に発信していく努力をしないと、支持されない時代になりました」(福井さん)

ヤフー株式会社 社長室 社会貢献推進室室長の妹尾正仁は「『Yahoo!ネット募金』ページのリニューアルや、メールマガジンでの発信などを通じて、寄付の使途の『見える化』を進めています。寄付金が誰に届いて何に使われたのか、ブラックボックスにならないようにしたいのです。ネット募金は1円単位で、人数まで、ほぼリアルタイムで表示されます。支援先とともに、デジタルの得意領域である可視化に挑戦し、日本の寄付文化を、もう一歩先のステージに進めたいです」と語った。

福井淳

社会福祉法人 中央共同募金会 総務部長

1988年中央共同募金会入局、2012年から総務部長。ヤフー株式会社とは、2001年のチャリティオークション出品からのつきあいとなる。

福井淳の顔写真

妹尾正仁

ヤフー株式会社 社長室 コーポレートコミュニケーション本部 社会貢献推進室室長

2009年法律事務所で弁護士を務める。

2012年にヤフー株式会社入社。M&Aや経営戦略などに携わる。

2015年から、社長室コーポレートコミュニケーション本部 社会貢献推進室の室長となる。

妹尾正仁の顔写真

石川省吾

ヤフー株式会社 社会貢献推進室 Yahoo!基金運営リーダー

2000年ヤフー株式会社入社。

企画担当として、コミュニティ、アバター、動画サービスに従事。

その後は地域系サービス全般の開発に関わる。カスタマーサポート部門の子会社をへて、2013年4月から「Yahoo!基金」運営リーダーを務め、現在にいたる。

※肩書き、部署名は掲載時のものです。

石川省吾の顔写真

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