特集

Where does my donation go?

「寄付の行方」Vol.3

ジョルジェ・マキッチ〈在日セルビア共和国大使館・参事官〉 石川省吾〈Yahoo!基金事務局長〉 松本裕也〈Yahoo!基金事務局〉

「Yahoo!基金」は、2014年5月中旬にセルビア共和国で起きた大洪水への緊急支援を目的とした募金を開始。わずか1か月で9126万円を集め、マッチング寄付金を加えた総額1億7447万円をセルビア共和国大使館に寄付しました。大使館の参事官を招き、異例の反響となった募金を通じて、セルビアと日本の絆、それをつないだインターネットについて話し合いました。
(2015.01.20 掲載) セルビア共和国とは? text by Nao Niimi(KAI-YOU) photography by Shunsuke Mizukami

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セルビアの洪水では、何が起きていたのか?

マキッチ2014年5月に発生した集中豪雨、そして大洪水は、セルビアにとって大変深刻で、国を揺るがすような出来事でした。その被害総額は17億ユーロ、およそ2500億円と算出されています。

セルビアには過去にこのような大洪水の歴史がなく、国自体の備えが万全ではなかった点が、被害を防ぎ切れなかった大きな要因と考えています。実際に、50人以上の命が失われ、25000人ほどが避難、建物や道路などのインフラも甚大なダメージを受けました。

石川当初、少ないながらも、被害状況が写真とともに報道されていて、セルビアでは異例の災害だったことを知りました。記事の扱い自体は小さかったのですが、非常に深刻な事態だったという印象を受けた記憶があります。

松本僕は普段、海外の大きな話題はテレビで気付くことが多いのですが、これほどの災害にもかかわらず、今回はそこまでテレビでは報道されていませんでした。むしろインターネット上で個人の方が情報を拡散されていて、それが僕にとっての第一報でした。セルビアと縁が深い名古屋グランパスエイトさんも募金を呼びかけていましたが、おそらくそのきっかけはSNSなどだったのではないかと思います。当然、すぐにでもヤフーとして支援のアクションを起こさなければいけないと思い立ちました。

石川Yahoo!基金として募金を集めるためには、その受取先を確保しなければいけないので、すでに動いているセルビアの団体があるのか調べたところ、大使館が自らホームページ上で募金の呼びかけをされているのを見つけて。

マキッチその被害の大きさは、とても自分たちの力だけで復興ができる規模ではなかったからです。当面の食料や薬の調達、住宅を失った方々への支援、そして国の復興のために、他国へ援助を要請するという結論に至り、各国で大使館が直接募金などを呼びかけることになったんです。

日本でも、セルビアと縁があるなし関係なく、個人の方々から多くの支援をいただきました。その中には大使館に直接お越しいただく方もいれば、現金書留で援助してくださる方もいました。テレビ番組などでも取り上げてくださいましたが、それ以上に、ヤフーさんとの取り組みが大きかったと思っています。

松本すでにSNSを中心に、セルビアの惨状を知って何かアクションを起こしたいと考えている人たちがたくさんいたんですが、大使館に行くか現金書留を送るなどの手段しかなく、やはりそれは一般の方にはハードルが高いものでした。機運は高まっていたのにアクションにつながらないという事態が起こっていたので、それを解決しようということで、早速大使館と連携を図って、Yahoo!ネット募金のページを立ち上げたんですよね。

マキッチセルビアは1990年代の紛争の影響で、長年困難な時期を過ごしてきました。そのような状況下で日本政府からは多くの援助をいただきました。その感謝は今も忘れていませんが、それはあくまで政府間でのやりとりでした。ヤフーさんを通じてですが、日本の国民のみなさんに直接寄付を募るのは初めてでした。そしてその結果、1億7000万円もの募金が集まったことに大変驚いたと同時に、感謝しています。

石川わたしたちにとってもかつてない規模の支援だったので、本当に驚きました。それも、国内ではなく海外への支援という点でも、異例の出来事です。

松本過去に、災害に対する一般の方からの募金で1億円に迫る勢いというのは、東日本大震災をおいて他にはなかったですからね。

マキッチヤフーさんのページでは、募金額がほぼリアルタイムで表示されるようになっていて、毎時間、わたしたちもその金額を注視していました。だんだんと増えていく様子を見ているうちに、この金額は、どの団体・企業からのものよりも最高の額になるという確信に変わっていきました。

欧米には、セルビアからの移民が多く住んでいる国があるので、彼らを中心に母国への支援が集まるのは必然とも言えます。ですが、セルビアからの移民がほぼいない日本で、世界中の支援の中でも、間違いなく上位の募金額が集まったわけです。セルビアでもヤフーというブランドは知名度があるので、そこでこれだけの募金が集まったというニュースは大きく取り扱われました。

今回、これほど多くの募金額が集まった主な要因は3つあります。1つ目は日本国内におけるヤフーさんへの信頼感です。2つ目は、日本人が持つ自然災害への深い理解や被災者に対する連帯の気持ちです。地震、台風、豪雨などの自然災害を経験してきた日本人が、セルビアでの洪水被害にもある種のシンパシーを感じてくれたのかもしれません。

最後は、支援の手軽さです。わたしたちはさまざまなメディア・団体に働きかけましたが、特にヤフーさんとの取り組みは一番支援がしやすかったという意見を、個人的な知り合いからも聞きました。ネットで募金できる、しかも、普段多くの人が使っているTポイントでもできる。今これだけインターネットが普及している中で、手軽さというのが大きな魅力になっているのではないか、と。

石川ありがとうございます。特に、他の募金団体と異なる特色の1つとして、Yahoo!基金にはマッチング寄付という仕組みがあります。ユーザーが募金をすると、ヤフーが同額を上乗せして寄付するというものですが、直接その団体に預けるよりも、Yahoo!基金を経由させた方が倍の力になるという点が、ユーザーの共感を得られていると思っています。

■特集|未来への扉をひらく

  1. What is “Links for Good”?
  2. 01.MISIA 七つの海に響く歌
  3. 02.佐藤大吾 みんなの気づきが日本を変える
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  5. 04.駒崎弘樹 すべての親子が笑って暮らせる社会を
  6. 05.伊勢谷友介 美しい成長
  7. 06.有森裕子 他人を喜ばせる力は、自分を喜ばせる力に
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  9. 08.中村俊裕 テクノロジーがラストマイルに笑顔を届ける
  10. 09.山崎亮 誰がコミュニティをデザインするのか?
  11. 10.枝廣淳子 しなやかで、持続可能な社会
  12. 11.野口健 山が教えてくれた、知ることの本質
  13. 12.森山誉恵 子どもたちにツケを払わせない社会
  14. 13.ハリス鈴木絵美 一人ひとりの声は、インターネットに乗って社会を変える力に
  15. 14.小暮真久 誰かのためになることを面白がれる人に
  16. 15.道端カレン、山田淳「人と人、土地と人とのつながり」 Vol.1
  17. 16.北村孝之、高橋邦治、佐藤渉、立花丈美「人と人、土地と人とのつながり」 Vol.2
  18. 17.大会参加者レポート「人と人、土地と人とのつながり」 Vol.3
  19. 18.髙井康行、服部亮市「寄付の行方」Vol.1
  20. 19.髙井康行、服部亮市「寄付の行方」Vol.2
  21. 20.ジョルジェ・マキッチ「寄付の行方」Vol.3
  22. 21.「女性が働きやすい会社のつくり方」Vol.1
  23. 22.「3.11を機に問い直す、ヤフーのBCPとは?」
  24. 23.吉岡マコ「女性が働きやすい会社のつくり方」Vol.2
  25. 24.子どもたちの未来

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